中華街は何語か

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「中華街」は中国語ではない。そのままzhonghuajieと言っても通じる心配はない。「唐人街」がChina Townを指す。日本語としても「南京町」の方がむしろ古いくらいだ。私は1994年、香港での国際華人研究学会(ISSCO)で横浜中華街のパネルを聞いたとき、「中華街」が中国語として通じないのをはじめて知った。その後もそう思っている。
ソウルから電車で仁川に行った。韓国唯一のチャイナタウンを見るためだ。
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チャイナタウンの西(仁川駅前)と南(韓中文化館横)の二カ所に牌楼がある。はっきり「中華街」と書いてある。いったいどういうことだろう。仁川のチャイナタウンは1884年に清国租界となった場所だ。同じ年に設置された日本租界との境界階段が今も残る。奥には孔子像。階段を降りた先、南門横には2005年に山東省蘭山区政府から送られた王羲之像もある。
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日本で言えばラーメンに当たる、国民食ジャジャンミョン発祥の地でもある。チュンジャン(黒味噌)ソースのジャジャンミョンは炸醤麺とは似て非なるコリアンフードである。1905年開業の仁川チャイナタウンの「共和春」で考案され、韓国内ではこの名を冠した中華料理屋も少なくない。日本で言えば来来軒か。毎年10月にジャジャンミョン祭りが開かれ、早食い大会などがあるそうだ。写真は紫金城のジャジャンミョン、3500ウォン。
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華僑もしくは中国人営業店には「華商」表示あり。
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仁川中国租界は1914年に朝鮮総督府に返還され、日本時代は支那町などと呼ばれていたが、1964年に善隣洞と命名され、2003年から05年にかけて観光中華街として整備されたと説明板にあった。観光化のモデルは横浜中華街だったのではないか。やはり「中華街」は日本語、でも韓国では通じる。

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このページは、舛谷鋭が2006年6月17日 11:26に書いたブログ記事です。

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