マレーシアに限らず華人文学の主要媒体は華字紙の文芸欄である。日本だと日曜版など、別刷りになっていることがあるが、「文芸副刊」と呼ばれるそれは、さながら新聞の付録の雑誌だ。星洲日報の日曜版「星洲広場」の中の「文芸春秋」、南洋商報で火曜と土曜に付される「南洋文芸」が主な文芸副刊で、東方日報の「東方文芸」(当初火曜、現日曜)を加えてもよいだろう。「後浪」は星洲日報木曜版で2005年からはじまった新しい文芸副刊だが、既存の執筆者でなく八字輩(80年代生まれ)以降の作品を掲載している。編集も投稿もたぶん読者も同世代だが、従来の学生向けの作文ページと違い、文芸としてのレベルを維持していることは特筆される。いずれは「文芸春秋」に投稿するような人材を輩出しつつある。「浪来了」は2006年以降の「後浪」作品を掲載したブログ形式のウェブだ。デザインも含め、編集担当の孫松清の手腕には感心する。URLの通り正にニューウェーブで、シンガポール90年代の文芸誌「后来」を彷彿とさせる。
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