中国における「民族」の象徴化と観光

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ー「内蒙古大草原」とはなにかー
フフバートル先生(昭和女子大)を招いての内モンゴル合宿事前研修は以下の通り。
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前半の講義podcast-original3.gifはメモを参考にお聴き下さい。

○多民族国家中国の「民族」
-孫文の「五族共和」
--五族:漢、満、蒙、藏=チベット、回(ウイグルなどの回教徒)
cf.『五体清文鑑』(清朝時代の満、漢、蒙、藏、ウイグル語辞典)の「五体」
-蒋介石の「宗族」
cf.台湾蒙蔵委員会
-中国共産党の「少数民族」
○中国共産党の少数民族政策
-民族「自決」から「区域自治」へ
(独立を許さぬ民族「区域自治」)
-ソ連モデル
○民族識別
-1955.12 民族語調査工作隊派遣
-400以上の民族名自己申告から漢族を含む56民族を確定
○少数民族の分布
-55少数民族-154民族区域自治地方(1999)
-総面積6割強も人口1億人弱
-5つの自治区(設立年)
--内モンゴル自治区(1947):新中国成立以前で今年60周年
--新疆ウイグル自治区(1955)
--広西チワン族自治区(1958)
--寧夏回族自治区(1958)
--チベット自治区(1965)
○民族とは
-スターリンの定義:心理状態の共通性を基礎
-ナロードノスチの定義:歴史的共同体
-cf.田中克彦(2001):『言語から見た民族と国家』.岩波現代文庫.
-文字の有無
○中国の民族政策の流れ
-1949基本政策,1954憲法
--民族幹部養成の民族学院設立
-1957 急進化
--「地方民族主義」、「民族右派」批判
チベット動乱
-1966-76 「民族問題は階級問題」
--フフバートル少年時代で民族文化打撃の記憶
-1978 民族工作復活
○Ethnic Tourism
-民族の観光資源化
-見せたいものと見せたくないもの
-テーマパークの事例(観光の体験から)
--深セン 中国民俗文化村 1985-:「人種のるつぼ」の展示
--北京 中華民族園 1994- 成功とは言えない
-民族要素の象徴化
--ゲル(モンゴル)
--歓迎歌(モンゴル)
--エスニックレストラン(食)
---特にステージレストラン
-中国人の国内観光開始
--1990s-
--外国人観光客から中国人観光客への移行による多様化
○内蒙古大草原とは何か
-象徴化されたモンゴルと商品化された草原
-'草原'の地理的概念-ステップから
-1950s-草原小説,歌,映画
--Nostalgia
--中共指導の下
-1980s-国内観光ブーム
-大草原,小草原という固有名詞
-観光ゲル
○民族の象徴化事例
-建築
-土産物(「蒙古土産」)
-cf.「蒙古土産」1907(明治40)刊の著者について:
一宮(河原)操子(みさこ) 1875-1945
教育者。長野県松本市生れ。1903(明治36)内蒙古カラチンの毓正女学堂設立のため赴任。カラチン王夫妻の協力を得て対ロシア情報活動の極秘任務につく。1906(明治39)日本に帰国。 「蒙古土産」所収の『近代浪漫派文庫10』はR本館所蔵(NDC9||918.68||H 56)。
○モンゴルのイメージと象徴(モンゴル国の画像から)
-草原、馬、遊牧、モンゴルリアンブルー、チンギス・ハーン、モンゴル相撲、-馬頭琴、-オボー、-ナーダム(建国記念)、タヒ=野生馬、、、、、、
○内モンゴルのDVD資料
-馬の象徴:女性の踊り、「馬頭琴オーケストラ」
○市場経済
-伝統文化の商品化
-他地域との差別化
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土産物の靴。右はモンゴル国製、左は象徴化された内モンゴル製。
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モンゴル縦文字で「フフホト」と書かれた市内モニュメント。


講演後、大塚のモンゴル料理店チンギス・ハンで、昭和女子大の先生方と学生10+2名、皇太子に同行してモンゴルへ行く朝日、讀賣、共同らマスコミ関係者を交えて食事会。ゲルの中で民族衣裳を着たり、食文化についてレクチャーを受けたり、モンゴル相撲の格好をさせられそうになったり。東京にこんなにと思うほどモンゴル人のお客さんが多く、民謡(母の歌)も聴かせてもらえた。
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このページは、舛谷鋭が2007年7月 6日 09:28に書いたブログ記事です。

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