海外で日本人のするスポーツと言えばゴルフだが、手軽にジョギングやウォーキングを楽しんでいる人も多いだろう。スポーツクラブのランニングマシンで30分以上走れるようになったら、競技会に出るのも悪くない。名所旧跡の少ない国でも、スポーツイベントで観光資源が創出される。ホノルルマラソンや東京マラソンには海外、遠方からの参加者も少なくない。
マレーシアでも、ポートディクソン国際トライアスロンやキナバル山岳マラソン(Climbathon)は敷居が高くても、世界三位のペナン大橋を渡るペナンブリッジ国際マラソンなら、10キロの部からある。クアラルンプール市内ではKL国際マラソンだけでなく、Padang Merbokを起点にしたロードレースが年数回行われていて、鍛え抜かれたアスリートもいることはいるが、トドゥンの女性やお腹の突き出た華人男性など、多民族かつ幅広い年齢層で、たぶんビリになることはないだろう。開催情報はスポーツクラブの掲示板や観光局、Pacesetters Athletic Clubのウェブなどで知ることができる。どれも車道を封鎖し、白バイの先導付きだ。
開催は不定期だが、ぜひ押さえておきたいのがタワーマラソン(Towerthon)だ。マハティール前首相が国民の「仰ぎ見るもの」として建設を始めたKLタワーは、世界4位の421mで、2006年にはオープン十周年を迎えた。タワーマラソンは1998年から行われていて、ふもとの駐車場からスタートし、タワーにたどり着く前にくねった坂道が1km続き、その後タワー内の階段を2058段登る。前回2006年2月の優勝者はケニアの英連邦競技会出場ランナーで、タイムは14分台だった。9分切ったらボーナス10万リンギと言うが、ちょっと無理ではないか。
ローカルの医者や弁護士の遊びとして一般的なのが自転車。ときどき大臣が自転車でデモンストレーションする写真が新聞に出るお国柄だ。マウンテンバイクでもロードレーサーでも、走行会は毎週、レースも毎月のように実施されている。開催情報は日本語紙にも広告を出すサイクルショップKSH店頭やPEDALPHILES CYCLING CLUBのウェブで知ることができる。
アジア最大の自転車レース、ツールドランカウイはF1同様観戦するしかないが、プレイベントとして一般参加の走行会が行われることがある。2006年1月に行われたTM Ride(旧Blue Ride)では、800台の自転車がパトカー、白バイ先導でクアラルンプール中心街を走った。コースはテレコムビルからバンサ、ペタリンジャヤに出て連邦道のPJ門をくぐり、ゴールデントライアングルまで行ってテレコムビルへ戻る41キロ。片側四車線の交差点を白バイが封鎖する中、塞き止められたバスや車を尻目に、ヘルメットからウエアまで決めた選手に混じり、チャイルドシートに娘を乗せたり、サンダル履きもいる自転車集団が渡って行く様はどう見えただろう。
初出:『南国新聞』2007.3.29
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