マレーシア・タクシーの不思議

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 車社会のクアラルンプールで、自家用車なしで暮らしていて、いったい月に何度タクシーに乗ったことだろう。住まいは麻布もびっくりの陸の孤島モントキアラだったが、道を一本隔てたスリハタマスにペトロナスのスタンドがあり、液化天然ガス(LPG)が入れられるので結構タクシーがだべっている。金曜の午後でもない限り、朝晩のJAM(渋滞)の時間帯に電話してもほとんど「No Car」と言われることはなかった。私の御用達はPublic Cabだが、アンパン周辺の日本人社会ではSunlightが定番という。電話で呼ぶと1リンギ加算されるが、コンドの中まで来てくれるので助かる。追加料金は他にもあって、3人で乗ると0.2リンギ、4人だと0.4リンギ、トランクに荷物を入れると1リンギの追加がかかる(こともある)。目的地ではドゥタバスターミナルに行くと1.5リンギ、KLIA(クアラルンプール国際空港)だと12リンギ加算される。プドゥラヤバスターミナルは町中なので追加なしのよう。ちなみにプドゥラヤとKLCCからは、個人タクシーに限らず、きちんとメーターを使うタクシーに乗れたためしがなく、結構闘った。
 変わり種はRadio Cab。日本人会からの帰りに呼ぶことがあるが、この会社は無線を中国語でやっている。「ザオダオリャオ、シエシエニー」などと南洋華語が飛び交う。90年代に華語のタクシー無線は禁止されたこともあったらしいが、いつの間に復活したのだろう。ドライバーはインド系もいるが、ほとんど華人とのことだ。
 以前から車内でときどき見かけたのは、KTMでも昨年からはじまった「接吻禁止」のステッカー。マレー語で「タクシー内ではお行儀よくしましょう」と書いてあり、寄せあう顔の上に×のついたのや、もっとはっきり「No Kissing」と書いてあるのもあった。ドライバーとはよく雑談するが、男性が一人で乗るとき、助手席を拒否する人もいた。防犯上の理由らしいが、男女で後ろに乗られるのは嫌じゃないの、などと聞いてもにやにやするばかりだった。
 有料道路の料金は客の後払いだが、支払いのとき、窓を開けずにドアを開けるのはなぜだろう。諸説あるが、パワーウインドを使うとバッテリーが上がるからとも聞いた。第一世代国産車のプロトンサガならともかく、プロトンウィラのプレミアタクシーでもこの動作が習い性になっているようだ。これで思い出すのがシンガポールタクシーの自動ドアだが、手動で使うのがほとんど。韓国車に車種変更の予定らしいが、現行のクラウンタクシーは日本のタクシーそっくりで、ドライバーに頼み自動ドアで開閉してもらって帰国気分を楽しむ。しかし黙っていると手動で開け閉めさせるのはやはりバッテリーのせいか。ウインカーを出さないことがあるのも同じ理由か??
 KLIAのエアポートタクシーのBudgetとPremierの区別もよくわからない。値段は1.5倍だが、車種を分けていないときもあると思うが、サービスが違うのだろうか。長距離タクシーが事前に予約できないのも腑に落ちない。当日、電話でOutstation(Out of Town)行きの黄色屋根のタクシーを呼ぶしかない。早朝発だからと事前に予約を頼んでも、乗るときに掛けろの一点張りだ。ということで、馬の合うドライバーに連絡先をもらっておいて、個人的に頼むことになる。タクシー仲間で横のつながりがあるから、忙しいときや長距離のときは誰か紹介してもらったり、レンタカーを借りて運転だけしてもらったこともあった。
 不思議は悪いことばかりでなく、KLIAからのファミリーバン(エアポートタクシー)はなぜか待ち時間がチャージされない。乗り継ぎの空き時間にプトラジャヤのショッピングセンターに出て時間を過ごしたり、トランジットツアーがない分、自家製ツアーが組める。

初出:『南国新聞』2007.2.15

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このページは、舛谷鋭が2007年2月15日 14:18に書いたブログ記事です。

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