学術会議東洋学シンポジウム
東洋学研連等共催シンポジウム「アジア人間科学への道─東洋学とアジア研究─」について
主 催:日本学術会議第1部東洋学研究連絡委員会
財団法人東方学会
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト「総合人間学」
日 時:平成17年9月24日(土)13:00〜17:00
会 場:東京大学文学部1番大教室(東京大学法文2号館2F)
(〒113-0033 東京都文京区本郷7−3−1)
趣 旨:
我々が日常従事している東洋・アジアの諸文化を対象とする研究を、より上位で括ることばに「東洋学」「アジア研究」「オリエント学」等々があるが、それらのどれが適当なことばであるかという問題は、日本語の語感に基づく研究者個人の趣味の問題などではない。それぞれの研究者が現代世界の中で抱く問題意識、それぞれが採用する研究対象と研究方法の性質や構造、近代以降のそれぞれの研究分野における研究史の展開、等々――ここではこれらを仮にディシプリンと呼ぶことにする。――によってさまざまの方向に分かれる、学問の本質に関わる問題である。
このような意味のディシプリンは、厳密には研究者個人によってそれぞれ異なるが、同時に、所属する学協会ごとである程度共通性もあり、ここに東洋学・アジア研究の学協会組織を越えた連携・協同がスムーズに進まない原因・理由があると考えられる。
今日、日本学術会議に発生した東洋学・アジア研究の制度上の危機は、外面から我々に学協会組織を越えた連携・協同の必要性を教えるものであった。そこで、この機会をとらえて、内面から東洋学・アジア研究の一層の連携・協同を進める目的で、このようなシンポジウムを企画することになった。
この目的を遂行するためには、以上の意味の学協会ごとのディシプリンの共通性と差異性について、相互に正確な理解を共有することが必要・不可欠である。したがって、このこと――諸ディシプリンを背景に背負った「東洋学」「アジア研究」などのあり方の解明――がシンポジウムの直接の内容となる。そして、このような理解の共有こそが、世界的普遍性という一色に染められてしまうことのない、東洋・アジアから発信する新しい人間科学( Human Sciences )の可能性の模索につながるものではなかろうか。
プログラム:
総合司会:
今井 敦(東洋学研究連絡委員会委員、東京国立博物館文化財部列品課列品室主任研究員)
林佳世子(東洋学研究連絡委員会委員、東京外国語大学外国語学部助教授)
桜井由躬雄(東洋学研究連絡委員会委員、東京大学大学院人文社会系研究科教授)
徳永宗雄(東洋学研究連絡委員会委員、京都大学大学院文学研究科教授)
開会挨拶:
池田知久(第1部会員、東洋学研究連絡委員会委員長、大東文化大学文学部教授)
提題:
(1)大橋一章(早稲田大学文学部教授)
「仏教美術の伝播――中国・朝鮮・日本――」(美術史学会)
(2)蓑 豊(大阪市立美術館館長・金沢21世紀美術館館長)
「オリエントとは何か」(東洋陶磁学会)
(3)小松久男(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
「中央ユーラシア研究の眺望」(日本中東学会)
(4)石井米雄(大学共同利用機関法人人間文化研究機構機構長)
「東洋学と地域研究」(東南アジア史学会)
(5)内堀基光(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所所長)
「アジアにおける民族学と人類学:東南アジア島嶼部を中心として」(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト「総合人間学」)
(6)藤井正人(京都大学人文科学研究所教授)
「総合学としてのインド研究のあり方を探る:王権・儀礼をテーマとして」(日本印度学仏教学会)
質疑応答・自由討論:
提題者および参加者
閉会挨拶:
中谷英昭(東洋学研究連絡委員会委員、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)