立教大学観光学部 舛谷研究室 masutani lab, tourism, rikkyo

大人のキックスクーター、帰国後

シンガポール市内やジョホール水道国境でしばしば見かけたキックスクーターを、大学への通勤で使って半年余り。工場街の現金が使えない店舗でペイパル払い5000円足らずで買った中国製SunColor8インチ車は、日本に帰国してからも実によく走ってくれたが、ハンドルと前輪をつなぐボルトが折れてドック(Spitt)入りとなった。入れ違いにフランス製Oxeloの7インチ車Town5 Easy Foldが日本代理店のナチュラムから納品された。

以下のフランス語ページの通り、都市交通の半分を占める3km未満で自転車、ローラーブレード、スケボー、徒歩とともにキックスクーター(写真はOxelo)が挙げられ、パリ・メトロのスト時利用や市内に専用ラックも設置されているらしい。

都市で有効な5つのエコモビリティ

主に電動など動力付きはマイクロモビリティと呼ばれ、モーターショーではスマートモビリティと言われていたが、足道など人力含むラストワンマイルのニッチを埋める移動手段を含め、パーソナルモビリティと総称してよさそうだ。

2015年7月以降のマイクロモビリティ実証実験の全国解禁や、2020東京五輪で小径車輪によるローラースポーツが追加候補種目になるなど、追い風も少なくない。何より、この楽しい移動手段を、誤解なく広めていきたい。

 

追伸

勝間和代氏も愛好者のよう

The Maritime Order and Social Integration in Southeast Asia

International Workshop by CHC, HSS and Rikkyo Univ.

Date: 27 – 28 June (Sat. – Sun.)
Time: 10:00 – 16:00 (Sat.) 10:00 – 12:00 (Sun.)
Venue: CHC Auditorium, Nanyang Technological University

Organized by Centre for Asian Area Studies, Rikkyo University, Japan
Co-organized by:
Chinese Heritage Centre, Nanyang Technological University
School of Humanities and Social Sciences, Nanyang Technological University
Supported by:
Japan Creative Centre, Embassy of Japan in Singapore/Japan Foundation Kuala Lumpur

This workshop focuses on the order and social integration in Southeast Asia. Southeast Asia has been considered by historians to be the crossroads between the East and the West, and we try to discuss several issues in this area from the Maritime standpoint, which considers the Maritime area to be roads of human migration and not barriers. The issues will be considered from several different disciplines, such as history, political science, sociology and anthropology.

With Lectures by:
Prof. Anthony Reid
Prof. Reynaldo Ileto (Nanyang Technological University)
Prof. Zhou Min (Nanyang Technological University)
Dr. Koh Keng We (Nanyang Technological University)
Dr. Wong Chee Meng (Nanyang Technological University)
Prof. Makoto Ueda (Rikkyo University)
Prof. Masashi Hirosue (Rikkyo University)
Prof. Chiharu Takenaka (Rikkyo University)
Prof. Yukio Toyoda (Rikkyo University)
Prof. Kenichi Ohashi (Rikkyo University)
Prof. Takenori Horimoto (Open University of Japan)
Prof. Satoshi Masutani (HSS-03-18, Nanyang Technology University/Rikkyo University)

キックスクーターは大人の安全な乗り物

キックスクーターと言えば、子供の危険な乗り物という図が目に浮かぶ。大人が乗るのは何とも大人げない感じだ。しかし、電動アシストの二、三、四輪、たとえば自転車、スクーター、セグウェイに代表される立ち乗り二輪、車いす(シニアカー)、小型車(マイクロEV)の総称マイクロモビリティの市場予測は2020年に市場規模1000億程度とのこと。とはいえ、いずれも電動の話。平坦完全舗装のシンガポールで、"last 1 mile" 用にこの種の電動スクーターを考えたが、何しろ重いし安くはない。結局「足動」キックスクーターを選択したが、ロードバイクの半分程度の重さは付属ストラップで肩掛けしてもさほどでない。二つに折りたたんでバスでも電車でもシームレスに乗れフォールディングバイクより手軽。なるべく前の方に蹴り足を踏み出し、ボードに乗せている足を前に押し出すコツもつかめてきた。ひと漕ぎでどのくらい進んでくれるか、段差のスロープ程度の下りでどれほど惰性がつくか。同じ「足動」でも自転車やジョギングに比べて運動になるというのもうれしい。赤道直下ながら"City in a Garden" を標榜するレッドドットの木陰と、ショップハウスに代表されるルーフをたどり、今のところ2、3kmだが、急ぐわけでもないので、ゆっくり、ゆっくり、遅くて立っていられなくなるまで粘る。たぶん日本と違って、大人でもキックスクーターに乗っている人が多く、すれ違うと目で合図しあう。関心を示す人も多く、それいくら?と通りすがりに聞かれることもある。さすがアメリカのブランドスクーターGoPedのシンガポール版まで存在するお国柄だ。いくらブルべ参加者と言え、Xootrユーザーのようにアメリカ大陸横断する気はないが、自動車でも自転車でも徒歩でもない移動手段から見える景観をしばらく楽しみたい。

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最初の日本語聖書はシンガポール製

在外で所属している南洋理工大人文社会学院中文学科の公開講演会で、「シンガポール翻訳業ー過去、現在、未来」を聴いた。主に中英翻訳を手掛ける陳丹楓(Tan Dan Feng)氏は、ここNTUの他、NUS、SIMなどの翻訳学科で講義されている40代のカナダ育ちのシンガポール人だ。今のCIMO (Chinese, Malay, India, Other)という分け方は荒すぎる、1888年18万人口のとき、タミル語の新聞だけで18紙もあった、と具体的。おわりは郭宝坤を引いて多元か一元かでまとめておられた。

林文慶の英訳『離騒』の詳細な注の話の次に、スタンフォードロードの旧MPH(現ヴァンガードビル)が出て、MPHはMethodist Publishing Houseの略(決してMusic Power Stationではない)で、元はアブドゥッラーのMission Pressがあって、日本語の新聞も出していたと言う話。マレー文学の鼻祖、『アブドゥッラー物語』(平凡社東洋文庫、中原道子訳)の著者はラッフルズの書記でマレー語教師でもあったが、宣教のため、シンガポールでの日本語出版は新聞だけではなかったようだ。

現存する日本語聖書は、16世紀の記録にある部分訳はすべて散逸しており、17世紀以降キリスト教禁止が徹底され、19世紀の『約翰福音之伝』(1837年、シンガポール出版)が最古とのことだ。陳氏は日本の博物館で見たとおっしゃっていたが、私は図書館貴重書級ではないかと思った。ブリティッシュライブラリーにはあるものの、ギュツラフ訳は国内opacでは立教の海老澤文庫も含め、20世紀以降の復刻しか見つからなかった。現存16冊のうち2冊は日本聖書協会の聖書図書館にはあるようだ。書誌は確かにシンガポール出版となっているが、翻訳補助者がまた面白かった。

マカオでドイツ人宣教師の翻訳を助けたのは、愛知県美浜町出身の日本人漂流民たちで、聖書和訳頌徳記念碑が1961年に建立され、毎年記念式典が行われているという。その中でも音吉は三浦綾子『海嶺』やその映画化などで知られるようになり、翻訳後、モリソン号事件で帰国に失敗し、上海経由、奇しくも聖書出版地のシンガポールに移住、遣欧使節団の福沢らの訪問を受けるなどし、明治維新前夜の1867年に亡くなっている。2002年にシンガポール日本人墓地に音吉顕彰碑ができ、2004年チョアチューカンキリスト教墓地で遺骨が発見され、日本人墓地の納骨堂に安置された他、故郷美浜町にも分骨されているとのこと。日本人墓地で二葉亭終焉之碑にばかり気を取られている場合ではない。

ホーリー祭とカラーラン、カラフルラン

以前ゼミ生グループが「海外卒業旅行企画コンテスト」で優秀賞を受賞したことがあった。その際日本旅行とチラシ制作まで漕ぎつけたのが「インド交流の旅〜ホーリー祭に参加して交流を深めよう〜」だった。当時からこの期間の滞在は都市によってはかなり危険と言われていたが、ヒンドゥーの豊作祈願だから、南アジアならネパールでも良いし、東南アジアならバリでもと思ったが、こちらはなさそう。などと思っていたが、日本を含め各地でカラーラン、カラフルランと呼ばれるスポーツイベントが行われていて、ホーリー祭派生らしい。日本国内はもちろん、ファンライドとして確立したアメリカ全土、その後カナダ、イギリス、オーストラリア、台湾、韓国、ベトナムなどで実施されている。ここシンガポールでもセントーサ島で毎年8月に実施されているらしい。今年の実施は未確定だが、塗りたくられるの覚悟で見物に行こうか?

トラベルライティングアワード2014選出・発表会のお知らせ

トラベルライティングアワード2014として、「ヨセミテの短い秋」(文=村岡俊也、写真=渋谷ゆり、絵=カザマナオミ。『翼の王国』2013年2月号)を選出し、発表会を予定しています。2015年なのに、2013年作品を2014年アワードとか、硬いことは言いっこなしで。

日時:2015年4月28日(火)17:00-18:00

場所:立教大学新座キャンパス7号館3階アカデミックホール

こちらもご覧ください。

JMOOCを担当して

 本学は2014年度、日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)に加盟したが、公認サイトgaccoでの最初の科目「交流文学研究 ~東南アジアへの旅~」は私が担当した。放送大学や教育テレビ出演経験を持つ諸先輩方を差し置いて僭越だが、大規模オンライン公開講座MOOC(Massive Open Online Courses)は、最大のスタンフォード「Coursera」でさえ2012年から、日本ではJMOOCが2013年11月に設立され、NTTナレッジ・スクウェアによるgaccoが2014年4月開講という黎明期で、何もかも試行錯誤、IT業界言うところの人柱としてお役に立てたらという心積もりだった。
 5月の打ち合わせ、6月のプロモ撮影、8月のスタジオに籠っての講座撮影の後、10月末の開講は在外研究先のシンガポールで迎え、11月には一時帰国し反転学習(スクーリング)。90分講義4コマ分のスライド+動画講座は12月半ばに終了した。1コマごとにeラーニングのクイズがあり、最終レポートは受講者同士が相互採点するため、厳密なルーブリックが求められた。
 登録者3373名で修了者453名は13%強だが、通常1割切るそうなので、低くはないだろう。登録者1万人を超える講座もあるので少数精鋭と言ったらよいか。何が起こるかわからなかったので、いざというとき踏ん張れるよう、手慣れた内容から本当に伝えたいことだけ話させてもらった。池袋タッカーや新座121の大教室講義と比べても桁違いの受講者は間違いなかったので、少なければ少ないほどよいと思っていた。
高校生から後期高齢者まで、海外在住者も含め、一部の方とは反転学習でお会いしたが、いずれも端倪すべからざる面々だった。受講者掲示板で講義の内容はWikipediaさながらチェックが入り、言い間違いは容赦なく指摘される。この規模の掲示板は放っておいても受講者のやりとりで解決するものを、最初は逐一対応し、時節柄、歴史認識の指摘まで受け、あやうく立ち往生しかけた。他講座の状況を確認し一方的に削除せず、本学にはこの種の対応で体調を崩した同僚がいたことも見知っていたので、概ね以下のように正面から対峙した。
 「日本で日本語で言っていることを、英語でも中国語でも、現地で通じることばで同じ内容で言えるものにしようということです。この作業をしていると、現地の歴史観とぶつかります。歴史は解釈ですから、様々な語り方がありますが、相手が誤解しているならわかるように正す、対立しても変えられないところは正直に言うということです。歴史認識について、同じ人が日本語と英語で違うことを言っている場を意外なほど多く見かけるので、そういう二枚舌は止めようと言う自分への戒めでもあります。」(ディスカッション14/11/11発言抜粋)
 幸い攻撃的な発言は収まり、その後の講義にも「戦争」が含まれていたが、背景を含め理解しようという受講者が多かったように思う。
 観光学部発信の講座だが、名称は「~文学」。そんなわかりにくさも、受講後アンケートを読むと、教員の意図は伝わっていたらしい。学部でよくある海外引率さながら、東南アジアの文学を語りつつ、あちこち連れまわし、発見や意味を伝えていく。受講後に旅したくなったという人も多く、本当に東南アジアへ行き、今まで気付かなかったクレオール文化に触れた、などという嬉しい報告もあった。
 すでに2講座目もはじまり、15年度講座の担当者募集もあった。アシスタントとメディアセンター諸氏の労苦に足る感謝のことばもないが、今後はこの試みが根付くのを見守っていきたい。

(初出:立教大学 大学教育開発・支援センターTL部会ニュースレター「MOVE 第15号」2015.2)

春節の初詣

シンガポール南安会館の知人に誘われ、大晦日に中国廟巡りしました。集合場所のTelok Ayer通り天福宮(福建)に23時過ぎに赴くと、中はお参りの人、向かいでお供えの傀儡戯、廟内見学ツアー、並びの玉皇宮では道教協会の道士のお祈りと大賑わい。

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新年を迎えると廟内に獅子と龍が躍り込んできた。

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天官に率いられた黄赤の獅子はひと踊りした後、お供えの上にうずくまり、何やらごそごそ。残されたのは今年のラッキーナンバー。

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年越しがひと段落したところで、徒歩でPhillip通りの粤海清廟(潮州)へ。義安公司の守護神で、きれいになったばかり。

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歩いても行けたかもしれないが、タクシーを奮発して、Shenton Wayバスターミナルの福徳祠(客家)へ。今日見た中で一番小さかったが、ここも2012年に改修されていた。1824年創建と伝えられ、シンガポール最古とも言われるが、証拠となる碑は見つからなかった。

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バスターミナルから133ナイトライダーに乗り、Pruvis通り(海南二街)の天后宮(海南)へ。ここは古廟を海南会館ビルが覆うように建てられた面白いつくり。

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 最後に静まり返ったブギスを抜け、参詣者最多のWarerloo通り(四馬路)観音堂(共通)に着いたのは3時過ぎ。それでも初詣客でごった返していた。

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面白かったのは並びのヒンズー寺院スリ・クリシュナが華人参拝客向けに観音像引っ張り出してたこと。ここは華字紙に広告出したり、観音堂と一緒にお参りする華人も多いらしい。

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華人系の店はどこも閉まっているか、稀に開いていても割増料金なので、インドカフェでコーヒー、プラタ等で一休みしてお開き。

シンガポールの廟はせいぜい200年くらいだが、インドネシアには400年前のが残っているのは先日のチレボン行で実見した通り。それでも、都市国家シンガポールで、春節に限らず、各地の廟が賭け事頼みを含め信仰を集め改修され、あたかも日本の神社のような役割を果たしているのは興味深い。

インターネットのみのSIM

日本で街中にWifiが飛んでおらず、不思議に思うインバウンド旅行者は少なくないようだ。確かにシンガポールにも空港WifiやWireless@SGなど公共サービスあるが、いずれもウェブで使用認証だけのマレーシアと違い、案内所や携帯などでパスワードを受け取る必要がある。

テザリングできるスマホや、ポケットWifiルータがあれば、現地の番号はいらないという人も多いと思うが、これまでの滞在でインターネットのみのデータSIM情報が集まってきたので、心覚えにまとめておく。

シンガポールは最大手Singtel、衛星放送で有名なStarhub、新興m1の3キャリアだが、ポストペイドは概ね2年しばりで、最短期間はm1の6か月だが、その間エンプロイメントパスがないと契約できない。そこで短期はプリペイドということになるが、空港でも買える番号付SIMの情報は他でも出てくるので、インターネットのみのSIM情報に限ると以下の通り(いずれも4Gプラン)。

Singtel: Data only SIM/SG18/最初の3日間使い放題/トップアップカードなどでチャージ/1day2GB:SG6~

Starhub: Internet SIM/SG18/最初の5日間1日2GB/トップアップカードなどでチャージ/1day2GB:SG6~

m1: Prepaid Broadband/SG18/最初の30日間1GB/トップアップカードなどでチャージ/1day2.5時間使い放題:SG5~ or 30day1GB:SG18~

チャージはコンビニ等の他、HDBの下の商店街やスーパーのレジ付近の出店で数ドル安くトップアップカードが買えたり、ネットでクレジットカードで払えるプランもある。Singtel、Starhubはほぼ同じサービス、m1が有効期間が一か月単位など特徴あるが、どのインターネットのみのSIMもそれぞれのキャリアの直営店でないと買えないので、自分のホテルのそばの店舗を調べておくとよいだろう。セントラルだとブギスジャンクションに3社とも入っているので、近所のITビルSimLimスクエアでSIMフリー携帯やルータを安く入手し、すぐにデータSIMを使うことができる。セントーサへのゲートウェイ、最大級ショッピングモールのヴィヴォシティL2にも3社揃っている。

空港には通話込SIMしかないと思うが、銀行両替所や各キャリアのカウンターでSingtel Tourist SIMとかStarhubのTourist Packという通話込だがデータも1.2G-7G付が15-32SGで購入できる。これらは逆に市中に出ると見つけにくいだろう。ちなみに空港のレンタルポケットWifiはカードデポジット200ドルで、1日当たり10ドルだった。

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