東南アジア学会関東部会11月例会のご案内
会員各位
関東部会11月例会のご案内をお送りいたします。
皆様のご参加をお待ちしています。
日時: 11月25日(土)午後2時30分より
会場: 東京大学
赤門総合研究棟 8階 849号教室
本郷の東京大学の赤門を入ってすぐ右手の建物が赤門総合研究棟です。
そこのロビーを入り、左奥のエレベータで8階にお上がり下さい。
報告:長田紀之(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程)
題名:「英領期ビルマの種痘政策とインド人移民労働者差別言説—海港における種痘強制問題をめぐって」
参加費:一般200円、学生100円
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連絡先 関東地区理事 奈良修一
報告要旨
「英領期ビルマの種痘政策とインド人移民労働者差別言説—海港における種痘強制問題をめぐって」
長田紀之(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程)
本報告では、英領期ビルマの種痘政策の変遷のなかで、特に20世紀初頭、一般的な種痘の普及に加えて、来航者に対する港湾での種痘強制を法制化しようとする動きが生じてくることに着目する。こうした動きは、大量のインド人出稼ぎ労働者が、ほぼラングーン一港を経由して無制限に流入する英領期ビルマの特殊な状況に由来した。インド人移民労働者は生活環境の劣悪さと流動性の大きさのため、植民地当局からビルマにおける疫病流行の元凶とみなされたが、その背後には不衛生な生活環境をインド人の習慣や文化と結びつけようとする植民地官吏たちの認識が存在していた。こうした中、港湾での種痘強制法制化の動きは、19 世紀末のペスト大流行を契機として生じた。この政策は、当初、労働力流入を妨げる恐れがあるとして抵抗を受けたものの、1910年代中頃から次第に実効力を有し始める。この過程で、植民地官吏たちの「不衛生なインド人移民」言説は法的な裏づけをえていき、また、都市部のビルマ人にも受容されて、ナショナリスト系の新聞などでインド人労働者非難に利用されてゆくことになった。