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バンテン・ブトン調査報告会

皆様

 下記のように、インドネシアの港市遺跡バンテン・ティルタヤサ遺跡とブトン・ウォリオ城跡の2005年度調査報告会を開催いたします。ふるってご参加下さい。


 インドネシア近世港市遺跡調査報告会

趣旨:
 インドネシアの代表的近世港市遺跡バンテン・ティルタヤサ遺跡とブトン・ウォリオ城跡について、バンテン遺跡研究会はインドネシア国立考古学研究センターと共にこれまで10年以上の共同調査を実施してきた。その中で、2005年度調査(11・12月実施)ではこれまでにない大きな成果を上げることができたが、一方で遺跡の保存活用に関わる新たな問題に直面せざるをえないことになった。
 ジャワ島のバンテン・ティルタヤサでは、中心の離宮跡から離れた運河跡で17世紀後半のレンガ造水門跡群を発見した。それは離宮跡をはさんで少なくとも2ヶ所に築造された高さ4mの大規模な構造物であり、単純な潅漑施設とは見なし難いものである。機能はまだ解明できていないが、この遺構群はバンテン王国最盛期における海岸平野開発の企図を探る重要な鍵を握ると共に、近世東南アジアの在地水利システムの理解に大きな資料を提供するとも言える。
 一方、スラウェシ島のブトン・ウォリオ城跡は、沖縄のグスクにも似たインドネシアでも最大規模の大城郭である。今回の調査では平坦な自然地形をなす西側と南側の城壁外に大きな堀が巡らされていることが明らかになった。そしてそこでの試掘から、ヨーロッパ輸出向け様式の伊万里鯉滝登り文大壷が出土した。ウィーンのマリア・テレジア関連コレクションでしか見られない18世紀前半の伊万里の出土は、陶磁貿易におけるブトンの重要性を改めて証明することになった。
 調査成果とは別に、住民にとっての遺跡保存の意味が両遺跡とも大きな問題になっている。ティルタヤサでは中心の離宮跡は村の共同墓地として使われ続けており、地下の遺構はほとんど壊されてしまっている。ウォリオ城跡では城内に千人ほどの住民が住み続けており、城壁修復や観光開発は必ずしも彼らの賛同を得ていない。両遺跡が直面する問題は、インドネシアの文化遺産が直面する困難な状況の縮図とも見ることができる。
 以上の点を軸に、2005年度調査成果を映像をまじえながら報告したい。

  期日:2月17日(金)午後1時30分〜5時
  場所:福岡市埋蔵文化財センター(福岡市博多区井相田 博多駅よりバス約15分)
  主催:バンテン遺跡研究会・福岡市埋蔵文化財センター
  入場無料(事前申し込み不要)
  内容:
   13:30 開会あいさつ
   13:40/14:20 稲垣正宏(国際航業文化財調査室)「ティルタヤサ遺跡のスジュン水門跡」
   14:20/15:00 野上建紀(佐賀県有田町教育委員会)「ウォリオ城跡出土の伊万里大壷」
   15:10/15:50 瀧本正志(福岡市教育委員会)「両遺跡の調査経過と成果」
   15:50/16:30 坂井 隆(上智大学アジア文化研究所客員研究員)「両遺跡の保存と住民」
   16:30/17:00 質疑応答
  備考:閉会後、懇親会を行ないます。参加希望者はご連絡をお願いします。

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