マレーシアの村上春樹

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葉 蕙(筑波大学大学院)

 

マレーシアにおける村上春樹受容の特色

 マレーシアにおける村上春樹の受容は、台湾・香港の村上現象を受けた、中国語圏社会から伝わってきたサブカルチャーの一種である。いわゆる日現象」は村上現象より先に生じていた。

 マレーシアでは華字紙学芸欄と文芸誌が文学作品にとって主要なメディアであり、加えて、インターネットブログによる「繰言」式のコメントも作品の報道と宣伝に拍車をかけた。こうした状況の下、すでにマレーシアには「村上チルドレン」が生まれている。

 マレーシアは複合民族・多言語国家であり、1980年代の「東方政策」下で若者たちは日本のポップカルチャーに関心を持ち始めた。1990年代には、「村上春樹現象」が台湾、香港からマレーシアへ、その後上海、北京、シンガポールへも伝播した。本稿ではマレーシアの中国語圏における日本文化受容の流れ、村上春樹文学の紹介・受容とマレーシアの華人文学(以降、馬華文学)への影響について論じる。

 

マレーシアにおける日本文化受容

 1980年代に日本ポップカルチャーの受容や「日現象」が起こった。元々マレーシア国民は外来文化に対する受容性が高く、特に華人社会は中国大陸や香港、台湾の伝統文化を受け継ぎ、日本文化をも多く受容してきた。

 

インターネット普及に伴う村上文学の影響

 ブログサイト「有人部落」は馬華文学の新人作家が集まる文学サイトで、そこで会員は自分の好きな文章を発表したり、文学談義をしたりできる。こうした作家、作品の中で、すでに「有人出版社」から32点の書籍が出版された。この中から、最新詩集『猫は熱帯原始森林に住んでいる』(2009)を例として紹介する。

 

華人文学への影響

 マレーシアの読者は日本語原本でなく台湾翻訳版の「村上春樹」を読んでいる。そうした村上作品を通じ、小説の中の消費記号であるジャズやスパゲッティ、西洋近現代小説・古典文学などが受け入れられている。さらに、より実際的に影響を受けた者もおり、たとえば馬華文学の若手作家たちやジャズピアニストなどに痕跡が見られる。

 

今後の課題

 マレーシア人は一般的にほとんど本を読まず、「文化砂漠」とも言われている。そうした中でマレーシアの華人作家の任務は、言うまでもなく自分たちの創作水準をさらに高め、出版条件を強化することにある。こうした状況の下、村上文学と馬華文学との相互関連性について研究することを今後の課題としたい。

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