第24回「東南アジアの社会と文化」研究会のお知らせ
第24回定例研究会を下記の通り開催します。今回は、日本学術振興会特別
研究員(京都大学東南アジア研究所)の小林知さんが、ポル・ポト時代以後の
カンボジア農村社会の「再編」について報告します。多くの方の参加をお待ちし
ています。今回の研究会は、京大東南アジア研究所共同棟3階でおこないます。
ご注意ください。多くの方の参加をお待ちしています。研究会終了後、懇親会を
行いますので、こちらにも振るってご参加下さい。
話題提供者:小林知(日本学術振興会特別研究員)
ポル・ポト時代以後のカンボジアにおける農村社会の“再編”:
トンレサープ湖東岸地域における調査から
日 時 :2005年9月16日(金) 16:00−18:00
場 所 :京都大学東南アジア研究所 共同棟3階講義室(307)
今日のカンボジアに関心を寄せる者は、必然的に、社会・文化の“再編”とい
う課題を想定する。それはすなわち、内戦とポル・ポト政権の支配という同国の
1970年代の歴史的状況が、現在の社会・文化の中にどのようなかたちで影響
をみせているのか、という関心に連なった問いである。発表者は、2000〜2002
年にトンレサープ湖東岸地域の一農村で定着調査を行った。その中では、まず
今日の地域社会の状況を把握することを第一の目標とした。しかし同時に、外
部者が“再編”と想定するところの歴史的過程が、この地域に生活する人々の
視線からはどのようなかたちで見えるのかという問題も、大きな調査の主題で
あった。
本発表は、ポル・ポト時代以後のカンボジア農村社会の“再編”の実態を、発
表者が調査を通して得たデータと観察に基づいて問い直す。作業としてはまず、
定着調査村を事例として、その集落の地理的・社会的編成の歴史的な変化を
検証する。これは、“再編”と言われてきた過程を、一村落社会に居住する人々
の具体的な経験として捉え直す試みである。また次に、地域の人々が暮らしを
立てるために行う生業活動の特徴とその変遷を検討する。そこでは、様々な方
途で生活を切り開こうとする人々の営みが明らかになる。また、それらの活動を
通して地域の人々が取り結ぶ社会的結合の理解には、トンレサープ湖の湖水
地帯と後背の森林地帯、マーケットタウンと周辺村落という関係の構図が、内
戦以前の地域の文脈においても、現在の地域社会においても、変わらずに重
要である点を指摘する。
カンボジア社会に生きる人々を、「カンボジア史の悲劇」の被害者とみたり、
開発援助の対象としてアプリオリな弱者とみなす視点は、内戦とポル・ポト政権
の支配がまるで全てを消し去り、その社会の“再編”がゼロから始まったような
印象を与える。しかし、本発表において発表者は、それが、内戦以前の地域の
社会的文脈と様々なかたちでつながりをもつものである点を主張したい。
*この研究会は原則として奇数月の第三金曜日に開催されます。7月は夏休
みとし、研究会は開催しません。研究会の案内はメールを通じて行っています。
お知り合いの方、とくに学部生・院生・若手研究者に、このメールを転送するな
どして、案内リストへの参加をお勧めいただければ幸いです。案内リスト参加希
望者の連絡先はnagatsu@asafas.kyoto-u.ac.jpです。
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「東南アジアの社会と文化」研究会のホームページです。ご参照ください。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/asia/chiiki-shinka/syakai-bunka/
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