方法としての「オーラル・ヒストリー」再考
一橋大学の中野聡です。
下記のとおり、歴史学研究会でオーラル・ヒストリーに関するシンポジウムが開催さ
れますのでご案内申し上げます。ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げ
ます。
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歴史学研究会総合部会シンポジウム
方法としての「オーラル・ヒストリー」再考
日時:4月3日(日) 10時−18時
場所:早稲田大学文学部33号館(2階) 第1会議室
(地下鉄東西線 早稲田駅下車 徒歩2分)
参加費:300円(資料代として)
チラシ
http://wwwsoc.nii.ac.jp/rekiken/RethinkingOralHistory.pdf
戦後60年が経ち、ますます戦争に関わる聞き取りが難しくなっていると同時に
「オーラル・ヒストリー」という方法が新たに見直されつつあります。今回の総
合部会では、歴史学だけではなく、社会学やポストコロニアル研究など異分野の
方々をまじえて、その方法論と実践について議論をする場を設けました。
午前の第一セッションでは、<オーラル・ヒストリーへの接近>と題し、方法
論に焦点を当て、まず桜井厚氏に社会学におけるインタヴューや口述記録の分
析法を、次に朝鮮史研究の姜徳相氏に、1950年代に行われた旧朝鮮総督府の高
官へのインタヴューのその方法と経緯について、最後にラテンアメリカ史研究
の清水透氏に、そのメキシコでのフィールドワークの手法や分析方法について
報告をしていただきます。コメンテーターには、日本近代史研究の大門正克氏
をお迎えします。
午後の第二セッションでは、<オーラル・ヒストリーの実践>と題し、アジア
・太平洋戦争に関わる個別報告を行っていただきます。まず日本占領下インドネ
シア史研究の前川佳遠理氏には、インドネシア語で行ったインタヴューと文字史
料を駆使し、インドネシア人元捕虜の語りをめぐって「史実とはなにか」という
テーマで報告していただきます。次にポストコロニアル研究の中尾知代氏には、
泰緬鉄道建設に関わった元英軍捕虜へのインタヴューと文書資料のつきあわせを
通して、語りと戦犯裁判に焦点を当てた議論を報告していただきます。コメンテ
ーターには、フィリピン史研究の中野聡氏をお迎えし、史実の実証の可能性につ
いて、具体的な問題を素材にして議論を行います。
最後に全体討論では、これら二つのセッションを通して、従来の歴史学の方法
との断絶/接合をとらえつつ、「研究者の立場性」に焦点をあてながら、オーラ
ル・ヒストリーという方法の有効性について改めて議論を深めていきます。みな
さま奮ってご参加ください。
報告・題目
第一セッション<『オーラル・ヒストリー』への接近>10:00〜13:00
問題提起:大久保由理
1.姜徳相氏「公人へのインタヴューとアーカイヴ問題−その実証性をめぐっ
て(仮)」
2.桜井厚氏「インタヴューの対話性と口述の社会性」
3.清水透氏「歴史学とさまざまな<歴史実践>—フィールドワークから見え
る立場性をめぐって」
コメント 大門正克氏
第二セッション<『オーラル・ヒストリー』の実践> 14:00−17:00
1.前川佳遠理氏「史実とは何か:インドネシア人元捕虜と語り、日本占領期
・独立戦争をめぐって(仮)」
2.中尾知代氏「英軍捕虜の語りと史実の実証は可能か—泰緬鉄道建設と戦犯
裁判—」
コメント 中野聡氏
全体討論 17:20−18:00