FrontPage | 一覧 | 検索 | 更新履歴(RSS) | 新規作成
はてなブックマークに追加 はてなブックマークを表示

11/11/28/3

差分表示


*交流文学論 第九回講義

*導入
女性が仕事をしている時に誰が子供の面倒をみるか?
一人っ子政策の中国では今では1人に対して6人(両親+両祖父母)で見る。
しかし、他の国ではそうもいかない。
→解決策として、ハウスキーパー(ベビーシッター)を送り出す国と受け入れる国。そのビジネス
主にフィリピン,カンボジア等が送りだす国
韓国,台湾やシンガポールが受け入れる国
※日本では単純労働での移民を禁止している

-受け入れ国では新しいエスニックタウンの形成。
(台湾としては、東南アジア移民の受け入れは中国との差異化にもつながる)

-日本での今後のベビーシッター制度は今後の女性の労働問題にも直結して大きな問題。

-ただ、マレーシアで見た例では両親と言語が通じない問題等も生じているようだ。

看護師試験は難しすぎる(日本に来ずにアメリカへ)
cf:講義『移住と定着』

これらを踏まえての講義。

*マレーシア
マレーシアは台湾,フィリピンからの移民?
それと現地の先住民

**歴史
1942-45は東南アジアは広く日本占領下

**多民族国家マレーシアの構図
**三大民族
・マレー人:イスラム:マレー語:約6割
・華人:非イスラム:中国語:約3割
(労働者としての移民)
マレーシアは軍需物資の商品作物が豊富(缶詰としての錫、タイヤとしてのゴム)
・インド系タミル人:イスラム、非イスラム:約1割
つまり、イギリスの植民地政策によるところが大きい。

**その他、マレー系の先住民
-ブミプトラ=マレー人+マレー系先住民
+インド側,中国側,台湾側からそれぞれに移民が

**日本との比較
日本三大チャイナタウン(長崎,神戸,横浜)
一番古いのは長崎の出島。
長崎では華僑は親戚。
神戸では華僑は友人。
横浜では華僑は隣人。
考えるべきは日本におけるアイヌ
(なぜ少数民族は辺境沿いに位置するのか?)


**イギリスによる統治
階級ピラミッドは…イギリス人、混血(ユーラシアン)、チャイニーズ、インディアン、マレー
下の階級になればなるほど、人口も多く反乱因子にもなりうる
→いつの時代も権力者はそれを恐れ、団結を阻止させるための政策は必須だった。
インドネシアにおいても、イギリスの政策によりチャイニーズ,インディアン,マレーを仲違い,反発させようとしていた

例えば日本の統治下では
チャイニーズ…戦争中(敵対)
インディアン…開放政策()
マレー…………可もなく不可もなく

今でもこういう統治が消えてはいない。
現在ではブミプトラ政策と言うアファーマティブ・アクション。
まずマレー人と先住民をブミプトラと決めて、経済的に優遇。(新経済政策)

*現代社会にも通じる民族,混血の問題
グローバル化が加速する現代においては、以前よりも混血の問題が複雑になっている(詳しくは次講)

**日本の中の移民
不法就労の問題はどうなるか。そもそも不法就労というものはどのような犯罪なのか
無国籍の人や、生まれてからずっと日本に住んでいる外国人の事を考えても難しい。
法的側面だけから、白黒つけるのは難しい議論でもある。

**ブミプトラ政策が実施されるまでの流れ
多様な民族摩擦。
-1969 五・一三事件
-1987 国内治安維持法発動
例えば、マラヤ大学はチャイニーズばっかり。
世代を越えて裕福になるための手段は勉強しか無い。
親は子供に対して自分より階級の高い身分になってほしい
(総中流社会となった日本はその結果勉強しなくなった?)

それを考えたときに、例えばマラヤ大学にブミプトラ枠45を設けた。
これが教育のアファーマティブ・アクション。
現状それでも争いは絶えてはない

**補足,発展
世界的に、貧困層とイスラム層はかぶっている所が多い?
その結果、民族紛争が起きる事は当然?
宗教の本質論や思想の問題にまでつながる話。

イスラム社会で経済的に成功した国家マレーシア

こういった問題と文学の問題がどのような近接性があるか?

*文学
**19世紀前半のマレーシア文学
・アブドゥーッラ物語
・イスラム文学運動
・出版文化の創世(インドネシアとの文学史共有)

**20世紀以降のマレーシア文学
-五十年世代(社会のための芸術)
クリス・マス『クアラルンプールから来た承認』
-六十年世代(農村,女性)
農村…シャーノン・アハマッド『いばらの道』
女性…マアッド・サイド『娼婦サリナ』
-第三世代(文学実験)
アンワル・リドワンの「意識の流れ」手法『明日が来れば』
※社会のための~と言われることは、社会主義的言い回しかも
日本も資本主義の名目であるものの世界的には
「マルクスにほめられる国」という認識もされていた。
現代社会でこそ社会主義国家の失敗を見て社会主義=失敗という認識がある。

**現代社会における社会主義
社会に出てしまえば社会主義を感じることはそうそう無い。
だからこそ学生として80‐90年は社会主義の時代だったという認識は持つべき。
だからこそ学生として80年代までは社会主義の時代があったという認識は持つべき。

パターンとして、
社会主義→農村(or女性)
(都市部は資本主義的であるため)
実感は難しいかもしれないが、日本だって女性の選挙権は1946~

ここまでは、社会のための芸術
第三世代は、芸術のための芸術

**文学の歴史とその社会背景,意義
馬華文学(=マラヤ華語系華人文学)の背景
ナショナリズム運動,対華21カ条要求への反対,新文化運動(言文一致)
社会主義的リアリズム

日中戦争時、華人には『祖国』の意識が芽生えた。
日本への反抗もあり馬華文学の盛り上がり。

1947僑民文学論争
チャイニーズ移民はどこにお墓をたてるか?
(日本人にしても同じ問題が言える

1948非常事態宣言
イギリスの進出に対して。
逆に華人とマレー人の溝が深まることに

1956愛国(=現地マラヤ)主義的大衆文学

在マレーのチャイニーズを語る上で上記の流れは重要。

次講、タミル語より