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11/10/03/3

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*交流文学論 第2回授業

*注意事項
**教科書
東南アジア文学への招待を購入する事。(必須)
書籍部に在庫あり。

**履修上の注意
今回の講義よりリアクションペーパーを開始するため、授業後にV-campusで提出すること。
有効となる投稿は次回授業の13:10まで。

**講義の受け方
教科書の次回分を読み、印をつける
Masutani.biz参照
・講義に出席して自分の読みを点検する

・授業後にCHORUSでリアクションペーパー提出

・前回の内容をサイバーラーニングで確認

**留意点
この授業が、ポストコロニアル文学であることを意識したい。
日本で言うなら在日韓国人,中国人等の『居住地と使用言語文化にズレ』があることからの諸問題。
さらに広げるなら、自己翻訳。自己分析。

*東南アジアの地理
1ベトナム
2タイ
3ミャンマー
4ラオス
5カンボジア
6インドネシア
7マレーシア
8ブルネイ
9フィリピン
10シンガポール


*東南アジアとは何か
まず、それを考える上で重要となる東南アジア諸国連合,ASEAN (Association of South‐East Asian Nations,1965〜)とはなんだったのか。
1989年、ベルリンの壁が崩壊しそれは社会主義の崩壊でもあった。
そして同時にそれは東西冷戦の終焉を意味するものでもあった。(日本は西側。

しかし、崩壊したと言われるものの、未だに今日でも世界中に『壁』は存在している。
ベルリンにおいての越えられない『壁』としては崩壊したが、例えばパレスチナは境界としての『壁』が今でも存在するし、東アジアでも朝鮮を南北に分断する板門店やベトナムにおいても北緯17度線には『壁』が『境界』として存在している。

そして、ASEANの成立とされる65年というのは冷戦の真っ最中でもあり、
1949年には東側(社会主義)である中華人民共和国が建国され,71年に国連に承認されていた。
ベトナムにおいても、北(社会主義)が勢力を強めており、当時は社会主義(共産主義)というものはソ連を中心に非常に強力な伝播力があったため、、西にとっての大きな脅威でもあった。
そこでアメリカ指導のもと、それに対抗する反共連合としての、ASEANが成立させられたのだ。
この活動には事実上アメリカが相当のテコ入れが存在していた。
しかしタイとインドネシアがコア(防衛線)として機能,団結したという歴史が今日の東南アジアの構成要素でもあるのだ。
ちなみに今でもタイやインドネシアでは共産党は非合法。

*前回とは異なる視点での復習
一番大切に考えたいのは、まず『東南アジアとは何か。』
なぜ、東南アジアとよばれるのか?
例えば、東アジア=儒教文化圏,漢字文化圏という認識があり実際にその通りでもある。
しかし、東南アジアというものには共通点を見つけるにしても非常に共通性が見られない地域でもあり、宗主国を例にとって見ても非常に多様な世界であるのだ。

*各国の簡単な説明
**ベトナム
沿岸部の細長い国。
ボートピープル=華僑。中国人いじめられた?→中越戦争
首都は北のハノイ、中国のそば。韓国のソウル‐北朝鮮の例も然り
南のホーチミン。建国の父。川に囲まれた肥沃な土地(メコンデルタ)

**タイ
かなりひろい(51万km^2)、マレー半島も北部はタイ。
タイ人とは何か。上座部仏教徒でありタイ語をしゃべる事?
『フランス人とは何か』と似たような理論
アンコール遺跡はタイの物。歴史の中でフランスが奪った事も含めて現在にまで残ってしまっている問題。
国境がこのへんは歴史の中で動いている。それは島国の日本人には少し難しいかもしれない

**ミャンマー
首都ヤンゴン。西の海は本当に奇麗。だけど対外的に開放していない模様
観光資源としては優秀。潜在能力ある!
ものすごくインドに近い。ものすごいインド臭。
社会的にも文化的にもインドに近い。

**ラオス
観光的に潜在能力ある。
タイからしても弟でベトナムからしても弟?緩衝地?
バーツ通貨圏。

**カンボジア
Wat phu…アンコールワットに似ている?
圧倒的にアンコール時代。
カンボジアの論点は、その時代のプレかポストか。
アンコール遺跡があるという理由で、研究対象としてフランス植民地とされた。
タイにあったから国境をねじ曲げられた歴史というそれこそまさに帝国主義。
宗主国の影響というものはやっぱり大きい。
例えば、フランスの植民地であったベトナム,ラオス,カンボジアでは高齢者はフランス語を話せたり、フランスパンが食卓に出てきたりするのだから。

**ブルネイ
王家は世界一の歴史を誇る?
1984年に独立。

**フィリピン
基督教だけど南はイスラム教
これこそが東南アジアの難しさ

**インドネシア
ボルネオ島南部のカリマンタンもインドネシア。
もはやオーストラリア。

**東ティモール
ポルトガルが宗主国。
だから分離圧力が強くてインドネシア(オランダ)から独立

**シンガポール
チャイニーズ文化。創られた国家。76パーセントが中国人。

*講読
**序章
押川典昭氏
作家プラムディヤの4部作を20年かけて翻訳。
記事URL
http://www.mekong-publishing.com/syohyo/yomiuri.htm
牢?で囚人がメモしてもってきた話がもとだからテキスト解読が難しいものであるらしい。
よみうり文学賞を受賞。

*本編
・政治の言語と文学の言語
・多言語社会の中の文学
・社会の中へ

-表現と言うもの
純粋に自身の現実のためと、誰かに表現するため
一般的には文学と言えばアートだろうけど、東南アジア文学はオピニオン(意見)としての意味合いが強いとの分析。
政治と文学、両者が全く無関係である事は無い。
例えば、震災の問題を考え、文学として成立するためにも際にもそれはまず政治ありき。
そこまで切り離された問題ではない。政治との関わり方にある文学。
東南アジア文学とは、多文化社会,多言語社会のなかでの文学。他にはない文学。

-ラテンアメリカのスペイン語といったものは、ない。
1つの文化の中で多言語が混在するという状態は我々には意識しないとわからない
言語の裏には必ず文化があり、それらがどのように持ちこまれたのか。
それが交流文学たるゆえん。アジア文学が選ばれた理由でもある。

**現代社会との関わり

この文学が、社会にとって何の意味があるのか。どう社会に関わっているのか。
例えば、日本でゲームやコミックがどのような影響があるのか。
(1週間に何百万部も売れるものなどそうそう無いし)
量的に言えばその影響力は甚大。我々はゲームにどの程度の時間を費やすか

なぜ現代において、その文字を用いた表現なのか。別の形式ではどうなのか
社会参加に文学は適しているのか

今後は、社会と文学,政治と文学に皆さんが関心を持てるかという問題も含めて講義を展開予定。