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11/06/20/3

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*前回のリアペから(ロマン主義的観光)
**世界遺産めぐり
-今年度の受講生はロマン主義的観光で世界遺産を想起する者が多かった
観光学部の先生は世界遺産が嫌い?←世界遺産指定までに政治的プロセスが存在、本物「らしさ」演出のツール
-登山
登山家の登山はロマン主義的であるといえる。トレッキングは違う
**ロマン主義的まなざし(分散的)
-ヒッピー→バックパッカー
バックパッカーの「沈没」(滞留)→「外篭り」=日本で生活費を稼ぎ、海外で暮らす
この例はロマン主義といえるか?(どの状態が戻るべき「自然」か、邪魔が入らない)
-まなざし観光
ゲストとホストの見方の類型化
*ジャンル批評(前回の続き)
**ゴシック小説
-18〜19Cドイツで興る
-恐怖、不安、異国、分身 ex.日本人のヨーロッパ古城観光
-真実味に欠けた内容を仰々しく描く
**リアリズム小説
-人生を客観的に描写し、物事のあるがままの「真の姿」で捉える
-19〜20C、ロマン主義の反動
-個ではなく関係で描く
-写真のような描写は可能か?←写真でさえ完全な「真の姿」ではない(構図の工夫、撮影後の編集etc.)
--メディアリテラシの核心
**サイエンスフィクション
-空想上(not現実)の科学技術の発達に基づく物語
「現時点でAの状態がBまで進歩したのだから、これがもしCの状態まで行ったらこうなるであろう」
--時代の進展によってはリアリズム小説っぽくなりうる⇔オーウェル『1984』
-認知的、科学的
-進歩と破局
*読者反応批評
テクストが何を意味しているかではなく、テクストが読者の心にどのように働きかけるかという点に着目←「読まれる」には読者が必要
-観光研究との親和性
旅行者が観光地をどのように感じるか
**読者の経験
-テクストの意味は読者の経験≠印象、読後感
-テクストによって誘発される反応すべて、一瞬一瞬で変わるもの
-読後の整理された解釈とは異なる
-それらの反応をすべての人に伝えるのは不可能。演出的になってしまうことを避けられない
ex.30分待っている様子を3分で描写する
*脱構築

*前回リアぺより
-読者反応批評を用い、観光の事例を解釈せよ
--ゲスト(読者)/ホスト(筆者)
--ダークツーリズムというテクストとそれを読む観光者(の資格?)
>>ex) 広島に訪れる観光客には、事前学習などをしていったという資格が必要か?
>>>逆に、観光がその事前学習の''確認''となってしまうことも
--賞味期限、陳腐化
>>ex) 冬ソナツアー ……大きな感動が出来なくなった
>>>この期限を永遠に近づけようとするのが世界遺産
--ホストの意図の拘束力
--エコとサステナブル
>>ex) 屋久杉を守るためにゲストに努力を強いる
*復習
-読者
-読者の経験
-反応から解釈へ
-解釈共同体
*ポスト構造主義としての脱構築
-先行する形式主義、構造主義へのアンチテーゼ
-それでは、構造主義とは?
*構造主義
-人間文化のあらゆる要素は、記号体系を構築していて、それを支配する統一的な法則がある(意味の中心)
--言語:ソシュール
--神話:レヴィ・ストロース
*ソシュールの言語理論
-フェルディナン・ド・ソシュール(1857-1913)
--スイスの言語学者
-“言語は差異の体系である”
--言語の各要素を独自なものにするのは体系としての言語内の''要素と要素の区別''
>>ex) 新幹線「のぞみ一号」という名前
>>>実際に「のぞみ一号」という特別な物理的特徴をもつ列車に付けられた名前ではなく、ダイヤ上区別するために付けられた名前
*差異の体系
-明確な境界によらず、''段階的''なもの
>>ex) 標準色空間 → グラデーション
>>>どこからどこまでが赤かと聞かれたら分からないが、2つの色を並べて、どちらが赤か、という比較は可能
*ソシュール名言集
-言語は''記号''の体系(システム)
-形と意味の関係は''恣意''的な約束事による
-言語は言語の外部に存在するカテゴリーに独自の名前を与える''命名法ではない''(実証主義)
-言語は''慣習的な体系'' 〜それぞれの連想の束
--文化などによって異なる
>>ex) 雨=青/晴=赤、黒=喪服/白=婚礼服
-言語学の対象は''ラング''(言語の体系)である
-''共時的''な言語研究が中心
--共時的……歴史研究
--通時的……ある特定の時代の研究
*言語論的転回(Linguistic Turn)
-人間は意識よりも言語の枠組みに捉われている
-言語も文化もあるシステムの中で構築されたもの
-意味は何によって決まるのか
--意識 > 言語 > 情報
>>後者2つでは中身ではなく準拠枠組みの問題
*構造の事例としての比喩
-言語は基本的に比喩的
--小説は比喩のかたまり
-「文字通り」と「比喩的」には区別がない
-比喩(特にメタファー)は基本的なものの知り方の一つ
>>ex) Q.人生って何? A.旅みたいなものだよ
-完全には一致せず、不調和感は否めない
--立ち止まり考えさせる、文学的な力と評価の源泉のひとつ
*比喩の四大転義法
-メタファー(隠喩)
>>目玉焼き:形の類似
-メトノミー(換喩)
>>たこ焼き:具(一部)で全体を表す
-シネクドキ(提喩)
>>親子丼:鶏と卵(関係で表す)
-アイロニー(反語)
>>皮肉、風刺
>>>※ メタファーとメトノミーでほとんどの連想の束はできている
*記号論とは
-ソシュール言語理論の発展系、応用系
-言葉だけでなく、言語にかかわるすべての事象に構造主義が適用される研究法
*観光をめぐる二項対立
-ゲスト/ホスト
-自己/他者
-主体/客体
-わたし/あなた
-日常/非日常
-居住地/観光地
--前後で優劣、権力関係にある
>>ex) 公私、老若、男女、など言葉の順番が決まっている
>>>あえて ホスト/ゲスト と順番を変えて優劣を逆転させ述べたりもする
*表現とメッセージ
-形 と 意味 ≒(言語における)音と文字
-意味するもの と 意味されるもの
-シニフィアン と シニフィエ (表現とメッセージ)
>>ex) 日本で首を横に振るという表現は NO を表すが
>>>タイで首を横に振るという表現は YES を表す
--''前者''を考察するのが記号論的
*わたしは物を信じる、関係を信じる
-ジョルジュ・ブラック(1882-1963)
--ピカソとともにキュビズム(近代派)の代表であるフランス画家
--自分の目で見た通りではなく、物と物の関係、繋がりを通して描く
*脱構築
-テクストの構造を分解することだけでなく、テクストが既に自ら分解していることを証明すること
>>テクストが矛盾した解釈を両立させていることを明らかにする
*脱構築と二項対立
-二項対立は並列対比だけでなく、上下関係という「暴力的な階層関係」を形式
>> ――内破の突破口
-二項対立の解体
>>ex) 男女 ……フェミニズム、ジェンダー思想
>>>老若 ……年功序列
*二項対立の解体
-二項を抽出
-二項の上下関係を確認
-上下(階層)関係の入れ替え(逆転)に注目:アポリア(パラドックス)
--毒にも薬にもなるか
--主張と行為に矛盾はないか
--思考できないはずの盲点を思考する困難
*ロゴス中心主義批判
-音声こそ自己に純粋に現前する心理とつながるのに対し、文字は不純な外部(=他者を介在させた、自己から遠いもの)だとすることは西洋思想の伝統「ロゴス(音声)中心主義」だが、「現前の形而上学(まぼろし、絵空事)と結びついているとして、脱構築的
*決定不可能性
-脱構築は中心の否定
>>意味が定まらない
-解決ではなく、対立によってただひとつの「中心的意味」を否定するのみ
*リアぺ
-観光の中にみられる二項対立を抽出し、脱構築せよ