第12回講義
ユーラシアンのヨーロッパ大衆小説の紹介
- ユーラシアン
- 欧亜混血児
- 「ダブル」という自覚と評価(居住地や出身地)
- 『ロビンソン・クルーソー』『三銃士』など
- 出版文化の形成に帰依
- 出版が盛んになり、読む人が増えて女性も読むようになる
- 産業の形成→文化の形成
ユーラシアン翻訳の発展
- 翻訳小説〜翻案小説〜創作
- 1920年代、ジャワ各地でプラナカンによるマレー語文芸誌
- 対州文芸誌は毎号百ページほどの続き物形態
- プラナカン小説〜ニャイ小説〜ロマン・ピチサン
大衆文学の形成
- 純文学に比べ多くの読者を獲した「大衆文学」
- 「純文学」は価値あるのか?-繰り返しは許されない
- 「大衆文学」では繰り返しが許される
- 読者は大衆文学の活字を目で追うことで気が休まり、純文学で刺激を受ける
- 大衆文芸誌
- 《Sin Po》(新報)
- 《Keng Po》(競報)
- 中国種の武侠小説連載
- 従来通り小分冊で出版
- 出版社は名前が知られていても、企業としての規模は小さい→利益を得るにはたくさん出版する必要…大衆向け
- 日本では、取り次ぎという仕組みのために出版物を安く出来ない
- 皆が買いたいと思う吸引力…華人が翻訳した文学作品(吸引力が武侠だった)
インドネシア大衆文学現代史
- 930事件後
- 武侠小説出版継続
- Mekar Djaia、Pautja Satya、Sastra Kumata、Gema等武侠小説出版のプラナカン出版社
- 50-60年代
- 70年代
- 80年代-
- 「新作」武侠小説
- 立教の図書館にも置かれている中国語フリーペーパーや、池袋駅北口のチャイナタウンの中文書店で原文を入手できる
- 非常に人気があるにもかかわらず日本では知られていなかったが、90年代になって香港のワイヤーアクションものの原作として人気が出た。
- 日本人による翻案やモチーフもゲーム等にある
インドネシアの中国近現代文学紹介
- Teng Ying Siang 訳『陳栓戯曲』国家出版局、1950
- 曹禺『雷雨』ジャカルタ上演、1958
- 茅盾『子夜』スラバヤ《Republic》連載
- プラムディア訳『白毛女』中国外文出版社、1958
- 揚沫『青春の歌』Lekra、1964
前回リアぺ
- 「クレオールとは何か」を理解しないで書いてあるケースがある。クレオール華人について分かっていればO.K.
シエンのその後
親愛なるデニス
- 1988年執筆
- マレー人に向けた作品だが、あえて中国語で執筆(厳しい検閲を免れるため?)
- 1989年大学専門学校文学賞
- 執筆動機
- 筆者の生い立ちによる(田舎、他民族との関係)
- 民族紛争一歩手前だった当時(1978年)
- 登場人物と「私」
- イコールではないが、寮での生活やマレー人との共生など無関係ではない
華人系マレーシア作家
- マラヤ大学卒業後、日本およびドイツ留学(学位は取得ならず)を経て、現在アメリカ在住
- 前独立中国語ペンクラブ会員
- 現アメリカペンクラブ会員
- 国際ペンクラブ東京大会2010で17年ぶりに来日
ペンクラブとは
- 国際ペンクラブと各国ペンクラブ
- 最古の人権団体の一つ
- 劉暁波
- 独立中国語ペンクラブ会長(2003-2007年)
- 「08憲章」起草者の中心
国際ペン東京大会2010
- 日本で3回目の開催
- 会場の一つは84年の前回と同じく京王プラザホテル
- 亡命作家として参加
- "多文化主義へと雪崩を打つ現代世界"(国際ペン東京大会2010より)
- 環境と文学「いま、何を書くか」…大会のテーマ
日本ペンクラブについて
- 阿刀田高会長、浅田次郎専務理事、吉岡忍常務理事
- 国際ペンの日本センターとして、1935年発足(初代会長島崎藤村)
- 満州事変後に国際連盟を脱退して、国際的に孤立に向かっていた日本
- 国際的な文学の交流の場
「秘密の花園」2009
- 旅行記、環境保護がテーマ
- 森林伐採と先住民
- ジャングルを転々として暮らすボルネオ島の先住民プナン族
- 森の遊牧民の生活を脅かすのは「文明の破壊」ではないか
- 森の中の水源、秘密の花園
- 現代医学に驚きを与えるほどの薬草の知識
社会問題と政治
- 亡命作家として外から見た祖国
- 人種問題から人権問題への展開
- 華人だけでなくマレー人、先住民を含む全てのマレーシア人へ関心の広がり
成績評価
後期レポートについて
- 2/3(金)締切のCHORUS提出
- これまで学んだことを元に、東南アジアいずれか一国あるいは一地域の文学について、近現代史・文化的背景言語・民族状況を背景に、作家や作品を中心としてまとめよ。