脱構築
前回リアぺより
- 読者反応批評を用い、観光の事例を解釈せよ
- ゲスト(読者)/ホスト(筆者)
- ダークツーリズムというテクストとそれを読む観光者(の資格?)
ex) 広島に訪れる観光客には、事前学習などをしていったという資格が必要か?
逆に、観光がその事前学習の確認となってしまうことも
ex) 冬ソナツアー ……大きな感動が出来なくなった
この期限を永遠に近づけようとするのが世界遺産
ex) 屋久杉を守るためにゲストに努力を強いる
ポスト構造主義としての脱構築
- 先行する形式主義、構造主義へのアンチテーゼ
- それでは、構造主義とは?
構造主義
- 人間文化のあらゆる要素は、記号体系を構築していて、それを支配する統一的な法則がある(意味の中心)
ソシュールの言語理論
- フェルディナン・ド・ソシュール(1857-1913)
- “言語は差異の体系である”
- 言語の各要素を独自なものにするのは体系としての言語内の要素と要素の区別
ex) 新幹線「のぞみ一号」という名前
実際に「のぞみ一号」という特別な物理的特徴をもつ列車に付けられた名前ではなく、ダイヤ上区別するために付けられた名前
差異の体系
ex) 標準色空間 → グラデーション
どこからどこまでが赤かと聞かれたら分からないが、2つの色を並べて、どちらが赤か、という比較は可能
ソシュール名言集
- 言語は記号の体系(システム)
- 形と意味の関係は恣意的な約束事による
- 言語は言語の外部に存在するカテゴリーに独自の名前を与える命名法ではない(実証主義)
- 言語は慣習的な体系 〜それぞれの連想の束
ex) 雨=青/晴=赤、黒=喪服/白=婚礼服
- 言語学の対象はラング(言語の体系)である
- 共時的な言語研究が中心
- 共時的……歴史研究
- 通時的……ある特定の時代の研究
言語論的転回(Linguistic Turn)
- 人間は意識よりも言語の枠組みに捉われている
- 言語も文化もあるシステムの中で構築されたもの
- 意味は何によって決まるのか
後者2つでは中身ではなく準拠枠組みの問題
構造の事例としての比喩
- 言語は基本的に比喩的
- 「文字通り」と「比喩的」には区別がない
- 比喩(特にメタファー)は基本的なものの知り方の一つ
ex) Q.人生って何? A.旅みたいなものだよ
- 完全には一致せず、不調和感は否めない
- 立ち止まり考えさせる、文学的な力と評価の源泉のひとつ
比喩の四大転義法
目玉焼き:形の類似
たこ焼き:具(一部)で全体を表す
親子丼:鶏と卵(関係で表す)
皮肉、風刺
※ メタファーとメトノミーでほとんどの連想の束はできている
記号論とは
- ソシュール言語理論の発展系、応用系
- 言葉だけでなく、言語にかかわるすべての事象に構造主義が適用される研究法
観光をめぐる二項対立
- ゲスト/ホスト
- 自己/他者
- 主体/客体
- わたし/あなた
- 日常/非日常
- 居住地/観光地
ex) 公私、老若、男女、など言葉の順番が決まっている
あえて ホスト/ゲスト と順番を変えて優劣を逆転させ述べたりもする
表現とメッセージ
- 形 と 意味 ≒(言語における)音と文字
- 意味するもの と 意味されるもの
- シニフィアン と シニフィエ (表現とメッセージ)
ex) 日本で首を横に振るという表現は NO を表すが
タイで首を横に振るという表現は YES を表す
わたしは物を信じる、関係を信じる
- ジョルジュ・ブラック(1882-1963)
- ピカソとともにキュビズム(近代派)の代表であるフランス画家
- 自分の目で見た通りではなく、物と物の関係、繋がりを通して描く
脱構築
- テクストの構造を分解することだけでなく、テクストが既に自ら分解していることを証明すること
テクストが矛盾した解釈を両立させていることを明らかにする
脱構築と二項対立
- 二項対立は並列対比だけでなく、上下関係という「暴力的な階層関係」を形式
――内破の突破口
ex) 男女 ……フェミニズム、ジェンダー思想
老若 ……年功序列
二項対立の解体
- 二項を抽出
- 二項の上下関係を確認
- 上下(階層)関係の入れ替え(逆転)に注目:アポリア(パラドックス)
- 毒にも薬にもなるか
- 主張と行為に矛盾はないか
- 思考できないはずの盲点を思考する困難
ロゴス中心主義批判
- 音声こそ自己に純粋に現前する心理とつながるのに対し、文字は不純な外部(=他者を介在させた、自己から遠いもの)だとすることは西洋思想の伝統「ロゴス(音声)中心主義」だが、「現前の形而上学(まぼろし、絵空事)と結びついているとして、脱構築的
決定不可能性
意味が定まらない
- 解決ではなく、対立によってただひとつの「中心的意味」を否定するのみ