第7回<ベトナム文学>
ベトナム基本情報
- 地域の特徴:大陸部(草の世界)
- 言語・民族:モンクメール(声調あり、中国語よりゆるやかな声調)
- 地理:モンスーン
- 人口、面積:8,514万人、33万平方キロ
- 外文化:中国(インドではない)
- 宗教:大乗仏教(南方ではなく北方)
- 植民地化:フランス1863-84(19世紀)
- 民族英雄、独立:ホーチンミン、1945
民族と言語
- 9割のキン族と53の少数民族
- タイ、ミャオ、チャム、華人等
- 越僑の存在
- ベトナムのための諸民族⇒諸民族のためのベトナム(少数民族の存在を認め、尊重する)
近代文学前夜
フランス植民地化による西欧化=近代化
- 意識、出版状況
- 大量生産⇒低価格化⇒大衆への行きわたり⇒識字率上昇
近代ベトナムのフランス文学
- デュマ、ユゴー、モリエールら近代文学者諸作
- ファム・クイン「小説について」(1921)⇒近代リアリズム
- 翻訳の重要性⇒翻案小説(大筋をまね、細かい点を作りなおす)
社会派の登場
- 貧困、不正など社会問題をテーマ
- フランス植民地当局からの発禁処分
- 現代文学期(1945-)に直結
戦争の時代
1975-76 ベトナム統一(約30年間戦場となる)
日本の市民社会とベトナム戦争
ベトナムに平和を!市民連合(ベ平連)
- 小田実(作家)、鶴見俊輔(哲学者)、高畠通敏(立教大学)らが北爆直後(1965)に結成
- パリ和平協定で米軍全面撤退(1973)後に解散
政治的信条や思想を問わない「来る者拒まず、去る者追わず」の市民運動
ベトナムの政治と文学
- 国家の政治的要請にいかに応えるか
- 文学は政治的目標達成のための道具
- ゴーリキー以来の社会主義リアリズム
人文・佳品事件(1956)
中国の百家争鳴(1956)〜反右派闘争(1957)に相当
ドイモイ(刷新)政策
ベトナム共産党第六回大会(1986)の書記長交代、若返り
『はるか遠い日』
- 「聖戦」ベトナム戦争の題材化
- 英雄、愛国、人道主義への異議申し立て
ドイモイ以降の文学状況
1986-呼応期
- 創作の自由、文学と政治
- 体制批判へ
- 作家協会機関紙「文芸」
模索(ポスト・ドイモイ)期の状況
- 長編小説の不在
- ソ連崩壊(1991)による社会主義リアリズム失墜
- 欧米現代小説に限らず世界文学への移行
- ノーベル文学賞への関心
- 「世界文学全集」というもの
- 世代論