観光と文学をめぐる二局面
- 狭義のあるいは文字通りの文学
- 旅行記、ガイドブックまたそれらの総称としてのトラベルライティング
- 広義のあるいは応用としての文学
「読む」ための文学理論
- 文学理論の誕生
- 意味を捉え難い特殊なテクストである文学
- それを「読む」ための分析概念(思考の道具)の発達
- 文学理論の適用範囲
- テクストは世界そのものと言えないか
- 文学だけでなく、観光を含むあらゆる文化事象を「読む」ための武器となる
- そもそも文科系の学問は言葉(テクスト)を読むところからはじまる
文学/観光の約束事
- コミュニケーションは、作者と読者(旅行者)が互いに協力しあっている
- 協調が前提(=協調原理)
- あらかじめ選別され、価値が信じられている(過保護)
- 過保護的な協調原理
物語(ナラティブ:語り)としての文学
- 文化の中心としての物語
- 物事を理解する方法の中心
- 科学的な因果関係の論理より物語の論理
プロット
- 最初の状況
- 逆転を伴う変化
- 変化を意義あるものとする解決
ストーリー
- 単なる出来事の連鎖でなく
- 始まりとのつながりのできるような終わり方
ストーリーとプロット
- ストーリー(時系列)
- 出来事が時間に沿って並べられたもの
- 例)妻が重い病気になった。夫は毎日泣き暮らすようになった
- プロット(因果関係)
- 出来事を再構成したもの、あらすじ
- 例)夫は毎日泣き暮らすようになった。理由妻が重い病気になったからだ
二項対立
- 観光/地域社会
- 文学/非文学
- 生産/消費
- 大学/企業
観光:国の光を観る
- 観國之光(易経、観六十四)
- 国の文物、礼制を観察してよく知る
- 原文では知らせるあるいは知らしめる意
- 光あるところ影が差す
- 明るく楽しいものだけが観光対象か?
- authentic(真正、ホンモノ)経験を求めるツーリスト
ダークツーリズム(DT)
- Death(死), Disaster(悲劇), Atrocity(暴虐)は観たくなる
戦場という観光地
- 非武装地帯(DMZ)
- 戦跡
- 慰霊観光
- 生存者、遺族、関係者が戦没の現場を訪問
- 慰霊碑の存在(沖縄、広島、海外...)
なぜDTに魅かれるか
- 「死」が産業化された現代
- 実感を持てないことばかり
- 見せることが準備された場所
- 滅多にないと思える体験
DTを支えるもの
- コミュニケーション形態の変容
- 言説の真正さ
- 観光対象として整備