「スポーツ、ツーリズム、文化の3要素の新結合による地域活性化戦略:釧路市阿寒湖温泉における地域活動の研究」
日本におけるスキー場の経営…日本人のスキー離れにより厳しい状況である一方、スポーツを観光資源として地域の活性化を図ろうとする試みも活性化。 →大規模イベントや大規模施設に依存しないまちづくりが検討されてきた。
釧路市の事例 低迷していたスキー場利用客や阿寒湖温泉の日帰り客数を取り戻すために、地元民による観光客誘致の活動が成されてきた。
観光客入込状況についてその季節性に着目し、
・冬場の誘客イベントとして「あいすランド阿寒:表情フェスティバル」を30年前から実施。;台湾を中心に海外へもプロモーション
・「阿寒湖アイヌコタン、まりも祭り」1950年に始まりその後50年以上継続。;アイヌ文化の伝承・保存を目的に
有数の温泉観光地としての観光資源、各種氷上のプログラム、アイヌの伝統を組み合わせた陶器の観光資源の開発といった、スポーツ、ツーリズムと文化の3つの要素の組み合わせにより地域活性化を行った。
その結果、2007年度の来場者、リフト輸送人数の変化が見られた。
→今後の課題
①活性会員会とボランティアの活動を継続的に運営支援していくための仕掛けづくり。
②スキー場への誘客の検討策。小中学校のスキー研修、修学旅行先として
③台湾以外のインバウンド誘致
④阿寒国立公園内の国有林、森林資源についての利活用の検討。
「世界遺産登録は地域に何をもたらすのか:雲南省麗江経験」
世界遺産登録による影響
・効果:文化遺産の保護・観光振興
・弊害:現代建築の建設不可・地元住民の生活環境の変化(水環境の著しい汚染)
→外部からの新住民の増加⇔旧住民の減少
保護民居(内装は大幅に変更され、本当の意味での伝統的な様式の建物はあまり見られなくなった)を利用した観光施設の経営者は外部から流入してきた人が大半。
◇歴史都市保全の限界 都市空間の表層は物理的に保存・継承されているが、空間の用途や文化的・民族的意味は継承されていない。
麗江をめぐる問題における
①短期的な論点:観光産業の過度の過熱と、商人・観光客を含めた人口の過度な流入をどのように規制するのか。
→麗江市政府の対応…旅館、カフェ・バー、レストランという3種の業種について新規の営業許可を発行しない。また、入込客に対してはホテル代や観光スポットの入場料などの価格の上昇や、ホテル予約の制限を課す。
②長期的な論点:「地域住民」の概念、範囲をどう考えるか。
→ナシ族などの旧住民だけでなく、「麗江の住民」が文化遺産の保護、観光地化の負の影響の是非に対し、責任を持つべきだとする議論が必要。また、特別な政策により旧住民を住み続けさせる、あるいは呼び戻す。
まとめ
今後、麗江旧市街地はどのように保全すべきか、また少数民族文化をどのように守り、継承していくか。
中国政府、地方政府、地域住民、ナシ族自身が協力して問題に向き合うしかないとしている。