20世紀後半以降、シンガポールは先進工業国や新興工業国の大都市の大規模な新規住民を受け入れた。多国籍企業のオフィスが集積するシンガポールでの国内移動の人口動態などを掲示し、シンガポールにおける日本人人口の特徴や今日のセツルメント形態について考察することが本稿の目的。 2000年度の人口総数において、シンガポール居住者全体の4分の1強が主に外国籍住民。またエスニック集団別の人口統計では表面化しない出身地や社会的背景の多様化が存在。 シンガポールにおける日本人コミュニティはエスニック比では1%程度。長期滞在者は企業から派遣された駐在員である男性が5割以上。永住者はシンガポール国籍或いは永住権を保有している者と結婚した女性が7割以上を占める。長期滞在者のうち、「民間企業関係者」が全体の9割。このような駐在員は英語圏で「エクスパトリエイト」(海外滞在に際してビジネスなど明確な目的を保持する者)と称される。 日本人会は在留邦人に憩いの場や診療所、現地社会との交流を提供。また日本人墓地の運営、管理を行う。19世紀から20世紀初頭にに特異な日本人コミュニティが形成される。 学齢期の子女数と就学状況が多様化している。日本人コミュニティ構成員の子女教育に関する選択肢の幅が拡大。 国際移動とセツルメント形態が複雑化している。セツルメント形態の多様化を進行させる要因の一つとして、日本から海外へ移住する行為自体の変化が上げられる。