交流文学論2〈第14回〉
中国語の定着
- 八十年代までに勝負ありと思われた英語教育派VS中国語教育派
- 「標準語」運動は中国語教育派に公然と中国語、中華文化を推進する機会を与え
- 中国の経済成長という外的要因
- 中国語はもはや後戻りできないトレンド
- 小学校卒業テストなどの振り分けテスト
- 高等教育
- かつての中国語教育の牙城、南洋大学(1957~1980)の校地を継承し、1992年に大学に昇格した南洋理工大学。
「ロイヤル・ファミリー」、リー家の教育
- 英語家庭
- 初等、中等教育は中国語
- 高等教育は英語
- 多民族社会の諸事情は「シンガポーリアン=英語」さえ許さない。
シンガポール華語文学再考
- 70%以上が華人(中国系民)であるシンガポール
- 話し言葉は広東語、福建語などの方言だった。
- 書き言葉は共通
中国語文学の潮流
- 中国、台湾、香港、マカオの中国語国語世界
- マレーシア、シンガポールなどの中国語民族語世界
- 中国や隣国マレーシアから情報、人の流入(移民や留学生)
シンガポール在住作家丁雲
- 開高健記念アジア作家講演会シリーズ16
- マレーシアからシンガポールへの放浪
- 作品テーマ
- 故郷(民族問題、都市化)
- 異郷(シンガポール)
- 現代史(労働運動、マラヤ共産党)
- 宗教(キリスト教に改宗)
生活の糧としての文学
- 東京23区と同面積の都市国家
- 日本を除くアジア各地、「文学」で自活できない
- 作家専業は退職者や主婦(夫)
- ほぼ全員が兼業作家
文学はどこに
- 逐次刊行物
- 日刊紙は、英語、中国語などの新聞が一つのビルに統合。
- 別刷りの文学ページ「文芸副刊」も純文芸系は『職合早報』の「文芸城」のみ。
- 文芸団体の同人会誌の他、出版社による文芸誌なし。
- 海外への投稿
「世界華文文学」の一環としてのシンガポール華人文学
- 教育省と主要三文学団体(文芸協会・作家協会・錫山文芸中心)の『シンガポール華文作家伝略』によると、540名。
- 物故作家100名を除き、団体に所属しない作家を加えると、およそ500名の華人作家が現役。
華人文学と日本
- 華人文学の主要テーマの一つである日本。
- 「五尺にも満たないチビ瓜が、両手を腰にあてがったまま、ぶらぶらとアヒルのように歩きまわり、ガアガア怒鳴っていた。もう一人は、逆にほとんど口を開かず、濃い眉毛の奥にはめ込まれたトビ色の小さな目で、悪辣そうに様子を窺っていた。」(苗秀『残夜行』(めこん))
- 「昭南」駅で検問中の日本兵の様子
軍国日本をどう読み解くか
- 1942年から45年の「三年八ヵ月」は、シンガポール(昭南)の日本軍政時代。
- 新興国にとって重要な国民史の一齣
- 国立文書館のオーラルヒストリーセンターも日本軍政期の記録から。
- 翻訳作品
- 前期「残夜行」
- 「シンガポール華文小説選」
- 「マレーシア抗日文学選」
- 画文集「チョプスイ」