講読
2 日本の離島における観光:自然観光からエコツーリズムへ
(P18~32)担当:来会 質疑:横井、富樫
1 はじめに
- ゲストによる離島のイメージ…「自然」、「素朴」、「楽園」、「あこがれ」 物理的/心理的な距離感
- ホストにとっての離島観光…一次産業に代わり「生き残る」ための重要な産業となった観光 残された「自然」を活用した「エコツーリズム」
- 本章の構成と目的…日本の最周縁部ともいえる離島社会から観光の意味を考えること
2 離島の概要
- (1)離島社会の概要…310の離島 69万人の人口 7500kmの面積 大小様々な離島が存在
- 離島の産業…産業開発が抑制されている 進む人口流失と高齢化 財政依存 観光開発への期待
- (2)離島観光の動向…海に関わるもの/自然を対象
- 統計データからみる離島観光…約1400万人の客数 773万人の宿泊者数 島の人口の何倍もの観光客
- 離島観光の移り変わり…「ディスカバー・ジャパン・キャンペーン」によるブーム オイルショック以降の衰退
- 離島観光の問題点…季節による客数の変動 離島ゆえの交通コストの高さ 離島観光の割高感
4 八重山諸島西表島におけるエコツーリズム
- (1)西表島の概要
- 表島社会の概要…大型の離島 石垣島から4、50分 観光開発が進み人口も増加 過疎高齢化ではない 独自の生態系「東洋のガラパゴス」、自然保護/移民と開拓の対立する側面
- 西表島観光の概要…日本の離島の中でも上位の観光客数
自然が魅力の観光アトラクション 問題点として通貨型観光の多さが指摘されるも宿泊者数は多い 移住者による観光産業
- (2)西表島のエコツーリズム
- 西表島におけるエコツーリズムの歴史…1990年「国内エコツーリズム推進方針検討調査」の対象地域 『西表島エコツーリズム・ガイドブック ヤマナ・カーラ・スナ・ピトゥ』、 「西表島エコツーリズム協会」⇒日本におけるエコツーリズムの先進地域
- エコツーリズムの代表としてのカヌー・ツアー…最も人気なガイド付きのカヌー・ツアー トレッキング・ツアー、ナイト・ツアー
1990代半ば以降業者の増加→雇用をはじめとした経済効果
- (3)西表島におけるカヌー・ツアーの意味
- 島出身者と移住者という二項対立…業者が増えすぎたことでオーバー・ユースとなり自然が破壊されるという島民の難色
島出身者と移住者で説明される二項対立⇒現実はそうでない
- エコツーリズムと自然保護…島民は反発はあれど無関心 自然保護活動により開発が制限されてきた歴史 日常生活と関わりの薄い自然保護活動に対する関心のなさ
5 おわりに
離島ゆえの貧困から推進される観光産業
しかし、過疎高齢化地域を中心に住民の多数が観光開発に積極的ではない
⇒理想的な観光とされるエコツーリズムだが、それが本当に地域住民のものとなるためには、人々の暮らしのなかに根づいたあり方が模索される必要がある